こんにちは。2023年もいよいよ夏本番を迎えようとしていて、私が住む神奈川県藤沢市にも多くの観光客さんを目にするようになりました。
そんな藤沢市の夏の有名な観光スポットのひとつ「鵠沼」。
鵠沼の街並みを歩いていると、こんな石垣造りの塀をした住宅をたくさん見たのではないでしょうか?
一昔前の建築様式が今でもたくさんの住宅で利用されていて、少年時代の夏休みにタイムスリップしたかのような気分になります。
この記事では、鵠沼エリアにおける石垣作りの塀の家がなぜ多いのか、その背景や魅力について解説します。
石垣は現代の建築様式でも超人気
石垣造り(石積み)の建築様式は古くから伝わる日本の伝統的な建築様式で、「天然素材」を活かした建築ということで、自然の景観を崩さずに建築することが魅力です。
そのため、土地の自然的な良さを気に入ってその土地に住居を構えるという場合には、あえて石垣の外構を設けて住宅を設計する人も多いです。
それに加えて工事費も安く抑えることができ、一石二鳥の建築様式なのです。
工事を抑えられるといっても、安っぽい外観になるというわけではありません。石積みは昔ながらの広報なので、値段の割に家全体が立派に見えます。石積みを採用することによって得られるメリットは無数に存在します。
例えば、コンクリート塀の場合には作り立ては表面がツルツルしていてきれいですが、雨や風、太陽光などでコンクリートの表面は風化し、次第にボロボロになってしまいます。一方、自然石による石積み(石垣)の場合には風化しません。それどころか、コケや太陽光によって焼けることで、石積みにしか出すことが出来ない独特の味が出ます。
石川デザイン企画
なぜ鵠沼エリアには石垣造りの建物が多いのか?
この理由について、筆者なりに調べてみました。加えて筆者なりの考え(自論)をもとに理由を記載していきます。
推測の要素もありますので、「ふーん、そんな考えもあるんだなぁ」くらいの気持ちで読んでくれると幸いです。
①観光地ならではの取り組み
鵠沼エリアは、鵠沼海岸という美しい海岸線を味方につけた、首都圏屈指の人気観光地です。
明治中期に国内最初期の海水浴場として、「鵠沼海水浴場」が開設されました。
この海水浴場の近くには、観光客を誘致するために多くの旅館が建築され、別荘地としても開発が進みました。
その際に景観を意識した開発が進み、石垣造りの建築物が多く立ち並んだという考えです。
その後、小田急江ノ島線の開通により住宅開発が進みましたが、住宅開発が進んでも鵠沼の自然に溶け込む開発が行われたのだと推測されます。
②歴史・文化的な理由
鵠沼エリアは、かつては「鵠沼村」と呼ばれていた田舎の町でした。
かつては漁村や農村として栄え、古くからの伝統的な文化や建築様式が受け継がれてきました。
そのため石垣作りの塀が多く見られるのは、藤沢市が地域の風景や景観を守るために建築的な規制もかけ、歴史的な建築スタイルを重視しているからだと考えられます。
③地理的な要因
ご存知の通り、鵠沼エリアは海岸沿いに位置しています。
海の近くの土地は、平地と言えど自然の浸食を受けて多少の凹凸の地形となります。
このような地理的な環境が起因し、石垣は斜面の安定化や土地の段差を埋めるために使用されたのではないかという仮説です。
石垣は土地の形状に合わせて建てることができるため、鵠沼エリアの地理的な条件が石垣作りの塀の家が多い要因となったのではないでしょうか。
建築の美意識と伝統
鵠沼エリアの住民や建築家は、美しい景観や伝統的な建築スタイルへの関心を持っています。
石垣作りの塀は、その美しさと独特の風合いから、地域の建築に取り入れられてきました。
伝統的な雰囲気を大切にしたいという気持ち、そして調和した景観を維持するために、地域の人々もまた、努力をして作り上げてきた景観と言えるでしょう。
まとめ
以上が鵠沼エリアに石垣造りの建築物が多いと考えられる理由です。
下記のURLに明治時代の鵠沼エリアの記録を残している写真が多数掲載されています。
この写真からもうかがえる通り、昔から「松の木」というのは海の近くでは人気だったのですねぇ。
そんな昔からの歴史ある鵠沼という街をいつまでも大切にしていきたいと、記事を書きながら私自身も感じてしまいましたとさ。
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